放医研年報平成10年度

5.診療業務



概況

 重粒子治療センターでの患者診療は順調に行われている。新病院棟に移ってから開始されたオーダリングシステム、物品運搬のための自走台車などは小さなトラブルは発生しているが、効率よく活用されている。病棟の絨毯敷きの病室、廊下、ディルームでの食事と家族との面談など患者にとっての清潔で静かな環境は非常に好評である。

 診療業務の中心は重粒子線治療である。本年度の治療患者数は168名で、前年度の5%増であった。これらの治療患者は全員入院が原則であり、医事統計でも示されている通り、延べ在院患者数及び一日平均入院患者数はそれぞれ前年度の13%増になっている。

 重粒子線治療が充実してきたのと同様にリニアックX線治療など従来よりの放射線治療も活発である。地下一階のリニアック(バリアン製・6MVと10MV及び新設の三菱製・4MVと6MV)は時折コンピュータ関係のトラブルはあるが、すぐに修理されている。照射方法もマルチリーフ・コリメーターでの三次元照射が随時行われて、まだ重粒子線照射の最先端の照射技術をそのまま踏襲するまでには至っていないが、その機運は高まっている。呼吸同期照射法も計画されている。

 今年度のトピックスは三期子宮頚癌で多分割加速照射法(朝・夕2回の分割照射)を開始したことである。副作用を軽減して、治療効果を増強することのできる注目されている治療法である。当センターでも、すでに肺癌での治療経験があるが、今回の子宮頚癌はアジア地域国際共同臨床研究の一環として開始された。

 診断グループの診療業務は更に充実した。放射線治療の治療計画、治療後の経過観察での造影X線CT、MRI、PET、エコーなどの診断は高い精度が必要とされる。本年度は地下のX線CT-アンギオ装置が肝がんの診断などで活用されはじめた。ちなみに本年度の薬剤の使用額の上位は造影剤で占められている。

 看護業務もおおむね順調である。しかし、近年の業務内容の多様化に伴い、種々の研修(例えばターミナルケアの問題、緊急被曝医療の問題など)が必要となり、これらに看護婦を出したいと思っても、現状のぎりぎりの勤務体制では、無理と云うことになる。特に病休者が増えつつあるので、8回夜勤も10回夜勤にしなければならない状態で各階もう一人ずつでも増えてくれればと切望するところである。

 毎週各種委員会が開かれている。HIS委員会ではオーダリングシステムの故障の問題、病棟会議では患者入院に関する件でさしたる問題はないが、病床利用率を増加させるための努力を行っている。感染予防委員会ではMRSA患者などの対策や各部署の拭き取り検査の落下菌の有無が検討され、比較的清潔な院内環境が保たれていることが確認されている。

 このような委員会は他にも随時開催され、診療業務に関する問題点の適切な解決を行っている。今後とも診療業務の充実をはかりたい。


5-1. 難治がんに対する各種粒子線治療効果の比較検討
5-2. 医事統計


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