国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構
QST病院(旧 放射線医学総合研究所病院)

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重粒子線治療の流れ

全体の流れ

初診から、治療を受けて退院するまでの流れについてご紹介します。
重粒子線治療は、 「外来受診」「治療の準備」「治療」「治療終了後」の4つのステップに沿って進みます。

  • 外来受診 - 適応の判定、説明と同意
  • 治療の準備(入院または外来)
  • 治療(入院または外来)
  • 治療終了後(退院 ※入院した場合)- 経過観察

外来受診

初診に際しては、まず主治医を通して当院を予約してください。主治医からの紹介状と、CTやMRIなどの画像診断結果、病理組織報告書などの資料をもって、患者さんご本人が当院外来へお越しください。
初診当日は、医師の診察前に、これまでの健康状態や病気の状態について、外来を担当する看護師がお聞きします。

医師による診察

医師による診察では、病気の状態が当院での治療の対象となるかどうかの判断をします(適応の判断)。
全身状態や、がんの状態(大きさや広がり、周囲の臓器との位置関係)など、各疾患で治療の対象にできる条件が異なります。お持ちいただいた資料や伺った内容、必要に応じて当院で追加する検査結果から、その条件に照らし合わせて判定されます。
追加する検査としては、CT・MRI・PET検査等の画像検査を行ったり、病理組織標本を主治医の先生からお借りして、病理診断を再確認したりすることもあります。

インフォームドコンセント

当院での治療対象の条件に当てはまると判断された方には、重粒子線治療について詳しく説明致します。
これまでの治療成績からどのような治療効果が期待できるのか、どのような副作用が起こる可能性があるのか説明致します。説明をご理解頂いた上で、当院での治療を受けることに同意される場合には、同意書にご本人(とご家族)に署名いただきます。

治療の準備

治療開始の1〜2週間前から治療の準備が始まります。治療の準備は、外来通院で治療を行える疾患もあれば、入院して治療を受ける必要がある疾患もあります。

治療の準備段階で、患者さんが関わるのは「固定具の作成」「CTシミュレーション」の2つです。
眼球腫瘍の場合には「治療リハーサル」にもご参加いただきます。
また、治療実施のための手続きとして、重粒子線治療を行うことの妥当性、治療法や治療計画が適切か、治療内容や副作用について患者さんに適切に伝わっているかなどを病院内のキャンサーボードで審査します。

固定具の作成

治療を行っている間、病巣に対して重粒子線を正確に照射するために、患者さんには最も楽な姿勢を保ってもらう必要があります。
姿勢を維持するために、ひとり一人の患者さんに個別の固定具を作ります。固定具室は重粒子線治療を行うのと同じ新治療研究棟の地下にあります。
入院の方は、病棟のスタッフが案内します。外来の方は、それ以前に受診された際に場所をご説明します。
実際に固定具を作る前に、医師あるいは診療放射線技師から、固定具について簡単な説明をしたうえで、固定具を作成します。所用時間は20分~1時間程度です。(頭頸部へ照射する方は、場合によってはこの日までに歯の処置が必要になります。肝臓や肺へ照射する方は、マーカー挿入が必要な場合もあります。詳しくは、主治医におたずね下さい)

固定具作成の流れ

  • 本人確認のための写真撮影(2枚)
  • 着替え
  • 位置合わせ
    • 仰向けまたはうつぶせが基本ですが、横向きで固定することもあります
  • からだを下から支えるマットの作成
  • からだを上から抑えるプラスチックのシートの作成
  • 固定具の位置確認のための写真撮影(1枚)

固定具を作っていただくときの注意点

楽な姿勢で寝ていただくことが重要です。
ご自分が楽な状態でいることで、よけいな動きが最も少なくなり、より正確な照射ができます。
固定具は、患者さんが最も楽な姿勢で治療を受けていただくためのサポートです

  • 固定具
  • 固定具

CTシミュレーション

治療計画の作成に必要なCTを撮影します。このCTの撮影も新治療研究棟の地下で行います。

事前に作った固定具に横たわり、主治医が検討した方向(場合によっては、ベッドが20度前後傾きます)でのCTの撮影を行います。
呼吸によって動く臓器の場合は、呼吸同期とよばれる方法で撮像します。これは、患者さんの呼吸の状態をモニターで観察し、安定した同じ位相の呼吸の時のみ撮像を行うものです。実際の治療でも、同じ位相の呼吸のときのみ、重粒子線が出るしくみになっています。
所用時間は30分~1時間30分程度です。

このCTの画像をもとに主治医が重粒子線治療の標的となる場所をコンピューター上に入力し、治療計画専門のスタッフによって、線量分布が作られます。

CTシミュレーションの注意点

固定具の体へのフィット具合を調節できるチャンスでもあります。どこか不具合があれば、申し出て下さい。
また、呼吸同期をする方は、むしろ呼吸を意識せずに自然にまかせた方が、うまくいくようです。(呼吸を意識していただいた方がよい場合には説明します)

  • CTシミュレーション

治療リハーサル

現在、治療のリハーサルを行っているのは眼球腫瘍の患者さんだけです。
治療開始の前日に、実際に治療を行う部屋で、固定具を付けた状態で、治療の時と同じように目印になる光源(LED)を見つめていただく練習をします。

治療

重粒子線の照射室はE室、F室、G室の3室があり、E室とF室では垂直と水平の2方向、G室では回転ガントリーによってあらゆる方向の重粒子線治療を行うことができます。
1度に照射する方向は、患者さんごとで異なりますし、同じ患者さんでも日によって異なる場合もあります。毎日の治療のたびに、5~20分かけて位置合わせを厳密に行います。
実際の照射時間は病気の場所や大きさ、呼吸同期が必要かどうかによって異なり、短いものは数十秒、長いものでは10分以上かかります。照射によって痛みや熱感などの刺激を感じることはありません。照射回数は、患者さんごとの治療計画によってきめられています。(照射部位によっては、照射前に前処置をします。病棟看護師の指示にしたがってください)

  • 重粒子線の照射室
  • 重粒子線の照射室

治療終了後(退院)

受けられた場合は、治療終了日の翌日、あるいは数週間後に退院となります。退院前(通院治療の場合は治療終了時)に以後のことについて担当医からの説明があります。
治療後は多くの場合、地元の病院のそれぞれの疾患の主となる診療科と当院との2か所で、慎重に経過観察をしていきます。
経過観察は治療の効果の確認と、副作用の有無の確認のために行われます。検査のために入院していただく場合もありますし、外来で行う場合もあります。検査の内容や間隔は疾患によって異なりますので、治療終了時に個別に説明させていただきます。
疾患によっては、治療計画できめられた生活の質(QOL)についても確認します。