国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構
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婦人科がん

婦人科がんに対する重粒子線治療について

適応症

婦人科がんへの重粒子線治療が先進医療として行われているのは、以下の場合です。

疾患名適応
1局所進行子宮頸がん臨床病期(FIGO)Ⅱ-ⅣA期の子宮頸部腺がんまたは巨大(6cm以上)扁平上皮がん
2局所進行子宮体がん合併症等で外科切除不能もしくは手術拒否症例の臨床病期Ⅰ-ⅣA期の原発性子宮体がん
3婦人科領域悪性黒色腫限局性婦人科領域悪性黒色腫

子宮がんに対しては一般の放射線治療も行っています。詳しくは、「子宮がんの放射線治療について」をご覧ください。

1.子宮頸がん

がんが子宮をこえて広がっており(II期以上)、遠隔転移がない方が対象となります。扁平上皮がんであれば、がんの大きさが6 cm以上であることが条件です。腺がんの場合、II期以上で、転移がないことが条件ですが、がんの大きさによる制限はありません。

子宮頸がんに対して、既に手術や放射線治療を受けたことのある方は対象となりません。

2. 子宮体がん

遠隔転移がなく、手術ができない/手術を希望されない方が対象となります。

子宮体がんに対して、既に手術や放射線治療を受けたことのある方は対象となりません。

3.婦人科領域悪性黒色腫

外陰、腟、子宮にできた悪性黒色腫(メラノーマとも呼ばれます)で、遠隔転移のない方が対象となります(ただし、子宮原発で鼠径リンパ節のみの遠隔転移であれば、治療の対象となります)。手術後の再発の方でも治療できる可能性があります。

治療実績

疾患名期間例数
1局所進行子宮頸がん1995/4-2018/12約250例
2局所進行子宮体がん1995/4-2018/12約20例
3婦人科領域悪性黒色腫1995/4-2018/12約40例

子宮頸部扁平上皮がんについては、6 cmを超える巨大腫瘍において、5年局所制御率70%と良好な成績が示されました※1。子宮頸部腺がんについては、重粒子線治療単独で5年局所制御率55%、5年全生存率38%であり※2、シスプラチン同時併用重粒子線治療では、2年局所制御率71%、2年全生存率88%と、良好な成績が報告されています※3
子宮体がんについては、手術非適応の子宮体がんに対して、5年局所制御率86%、5年全生存率68%と、良好な成績が得られております※4
婦人科領域の悪性黒色腫については、手術非適応/術後再発の症例に対し、3年局所制御率50%、5年全生存率53%と、良好な成績が報告されています※5

※1 Okonogi N, et al.: Anticancer Res. 2018;38(1):457-463.
※2 Wakatsuki M, et al.: Cancer. 2014;120(11):1663-1669.
※3 Okonogi N, et al.: Cancer Med. 2018;7(2):351-359.
※4 Irie D, et al.: Radiat Res. 2018;59(3):309-315.
※5 Karasawa K, et al.: J Radiat Res. 2014;55(2):343-350.