国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構
QST病院

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重粒子線治療研究部

研究概要

                 
重粒子線治療研究部は、次世代重粒子線治療のための放射線医科学研究およびトランスレーショナル研究を行っています。重粒子線は病巣への線量集中性に優れるとともに生物効果も高く、がん治療に適した性質をもつ放射線です。QSTの前身である放医研では1994年から重粒子線がん治療の臨床研究に取り組み、その成果は国内外でも高く評価されています。2003年には、厚生労働省から高度先進医療(現先進医療)の承認を受け、2016年以降、骨軟部腫瘍、頭頸部腫瘍と前立腺がん、局所進行膵がん、大きな肝臓がん、肝内胆管がん、大腸がん術後再発、子宮頸部腺がんが保険適用となりました。これらの臨床成果を更に発展させるべく、当部では分子、細胞、実験動物、臨床サンプルを用いて、粒子線を含む放射線によるがん治療の開発や高度化に関する研究や放射線生物物理研究、トランスレーショナル研究を行っています。

研究テーマ

粒子線の物理学・化学・生物学における生物物理研究

放射線生物作用は、放射線が生体を通過することによって開始される一連の連続した生体反応です。そのため、重粒子線の生物影響を理解し、重粒子線特異的な生物効果を臨床応用に結びつけるには、重粒子線の物理学的特徴と生体内化学反応や生物初期反応の関連性を明らかにする必要があります。放射線基礎医学研究として、粒子線を含む放射線生物作用の特徴を決める因子である、物理学的パラメーター(LET、線量率、粒子種)、化学的パラメーター(酸素濃度、ラジカルや化学物質による修飾)ならびに生物学的パラメーター(DNA・細胞・組織・固体の放射線感受性、障害の修復と回復)と時間のファクターを加えて、総合・複合領域として粒子線の生物物理研究を行っています。

次世代放射線治療のためのトランスレーショナル研究

重粒子線治療をはじめとする放射線治療の高度化と革新的な次世代放射線治療開発を目標とした放射線・がん生物学の基礎医学研究やトランスレーショナル研究を行っています。次世代放射線治療として期待されている量子メスの免疫生物学や標的アルファ線治療の開発、放射線治療に伴う有害事象の効果的な予防法開発に向けて、分子・細胞レベルから実験動物レベルまで、更に臨床サンプルを使って、様々な手法を用いた生物学的アプローチによる研究を行っています。

                     
                 粒子線生物作用の生体内反応と各反応過程の時系列
粒子線生物作用の生体内反応と各反応過程の時系列

重粒子線治療研究部

                 

部長 長谷川 純崇

                 

トランスレーショナル研究グループ(長谷川 純崇、武島 嗣英)

                 

生物物理研究グループ(長谷川 純崇、平山 亮一)

                 

メディカルデータバンク室(辻 厚至)

                 

( )内はグループリーダー、室長、研究統括