分子神経イメージング研究プログラム|MONI

脳機能イメージング研究部

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総合失調症
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総合失調症とはWhat is Schizophrenia?

統合失調症は妄想(現実とは異なる思い込み)、幻覚(現実にはない声が聞こえるなど異常な知覚)、 思考の障害(考えの内容がばらばらになり周囲の人には理解できなくなる症状)、陰性症状(感情が乏しくなる、 考えの内容が単調で乏しくなる、意欲がなくなるなどの症状)などを主要な症状とする精神疾患であり、10代後半から20代前半にかけて発病することが多い病気です。人口の1-1.5%のひとが発症し、その症状のために本人および社会経済に大きな苦痛と損失を与えています。

統合失調症の原因については脳内の異常にその原因があると古くから考えられていますが、十分には解明されていません。しかしこれまでの研究から、神経細胞と神経細胞の間のシナプス(図1)において信号伝達物質のひとつであるドーパミンおよびその受容体の異常が病気の原因に絡んでいるのではないかと注目されています。

その理由として、(1)統合失調症の治療に広く使われている治療薬がドーパミンの受容体であるドーパミンD2受容体を遮断し、ドーパミンによる信号伝達を遮断することによって抗精神病作用(幻覚や妄想などを軽減させる作用)を生じさせること。(2)反対にアンフェタミンやコカインなどの薬物が、ドーパミンによる信号伝達を強化させ、幻覚や妄想などの精神病症状を引き起こすことなどがあげられています。

このドーパミン神経系(ドーパミンを信号伝達物質とする神経系)は図2のように分布していることが知られています。

 
神経細胞と神経細胞の間のシナプス
図1 神経細胞と神経細胞の間のシナプス
ドーパミン神経系
図2 ドーパミン神経系
 
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ドーパミンD1受容体Dopamine D1 Receptor

我々は統合失調症患者において、ドーパミン受容体のひとつであるD1受容体の密度がどう変化しているか調べるために [11C]SCH23390というPETリガンド(図3)を用いてPET計測を行いました。その結果、前頭前野という前頭葉の一部でD1受容体が患者群で有意に低下しており(図4)、またこのD1受容体の低下の程度が陰性症状の強さ(図5)やWisconsin Card Sorting Test(前頭葉機能のテスト) の成績(図6)と強く関連していることが分かりました。
つまり前頭前野D1受容体の低下が統合失調症の陰性症状や認知障害に重要な役割を果たしているのではないかということを示しています。この結果はNatureに掲載されました。

 
図3
図3
図4
図4
図5
図5
図6
図6
 
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ドーパミンD2受容体Dopamine D2 Receptor

我々はドーパミン受容体の一つであるD2受容体の脳内分布を [11C]FLB457というPETリガンド(図7)を用いて明らかにしました(図8,論文概要)。 そして統合失調症患者におけるドーパミンD2受容体の変化を調べたところ、正常者と比較して前部帯状回においてドーパミンD2受容体の密度が低く、さらに密度の低下が強い患者ほど陽性症状(幻覚や妄想といった症状)が強いことが分かりました(図9,論文概要)。
つまり統合失調症の幻覚や妄想といった症状には前部帯状回におけるドーパミン神経伝達の異常が関与していることが推測されます。

 
図7
図7
図8
図8
図9
図9
 
 
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