放射線障害治療研究部

我々の研究部では、主に1)被ばく後の除染、そして次に必要となる2)障害治療技術の高度化を進めるために、重粒子線を含む放射線による影響・障害の分子レベルでの理解を積極的に進めながら、新しい治療法の開発を目指します。特に今中長期計画では幹細胞、そこから分化させた細胞を用いた再生医療の放射線障害医療への導入に向け、この分野の日本の中心になるべく地盤固めを行います。再生医療を用いたアプローチは、放射線事故への対応はもとより、重粒子線治療など計画的被ばくで生じる障害にも対応できる技術の開発にも繋がると考えています。また、次世代の放射線治療法の柱の一つである標的アイソトープ療法の基礎的・実験的研究も行っています。これらの研究を担う我々の研究部は、「体内除染研究」、「粒子線基礎医学研究」、「障害分子機構解析研究」、「放射線がん生物学研究」、「組織再生治療研究」、「幹細胞研究」の6チームで構成されています。

研究テーマ

アクチニド・放射性核種の体内汚染および排出促進に関する研究

アクチニドをはじめとした放射性核種による内部被ばくへの適切な対処に有用な知見を得るために、細胞および動物モデルを使用して研究を行います。まず、放射性核種の体内や臓器、さらに組織や細胞における分布と挙動および代謝を詳細に解析します。このことにより、より適切な線量評価のための知見を得ると同時に、バイオドジメトリー技術の高度化を進めます。さらに、体内の放射性核種を効果的に体外排出させるための薬剤やドラッグデリバリーシステムを探索するとともに、既存医薬品との併用効果を定量的に評価することにより、内部被ばくの体内除染治療などに有用な情報を提供します。

幹細胞のゲノム安定性研究

再生医療を用いた放射線障害治療を目指す基礎研究を、特に放射線影響研究の成果の柱の一つであるゲノム安定性研究の観点から、幹細胞に焦点をあてて行います。近年発見されたiPS細胞は、患者本人から作成が可能なため、免疫拒絶の問題を克服できると考えられることから、再生医療の切り札のひとつとして大きな期待が寄せられていますが、一方で、そのゲノムにはかなりの数の変異の存在が知られています。これらは免疫原性や造腫瘍性に深く関与する可能性があることから、今後解決すべき大きな問題になっています。これらの変異の生成機構を解明し、その低減化などによる高品質な幹細胞樹立を目指します。

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増殖因子による被ばく治療研究

高線量被ばく事故における放射線障害及び放射線治療における脱毛症や消化器症状など正常組織の有害反応に対する予防・治療法の開発を行っています。また、放射線によるDNA損傷修復機構や細胞の生死制御機構を解明し、それらの放射線障害における役割を明らかにします。さらに、幹細胞をとりまく微小環境におけるFGFなどの増殖因子や糖鎖などの細胞外マトリックスの組織再生に対する機能を明らかにすることで、放射線障害の予防・治療のための新規生理活性分子の創生を目指しています。

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次世代放射線治療のための放射線・がん生物学研究

本研究テーマが目指すところは、次世代の放射線治療やそれに関連する医療に貢献する放射線・がん生物学研究です。次世代のがん放射線治療の一つとして期待されている、高LET放射線(細胞障害性が高い放射線)による標的アイソトープ治療開発やその治療で懸念される血液毒性や晩発障害等の効果的な予防法開発に向けて、分子・細胞レベルから実験動物レベルまでの幅広い手法を用いて放射線・がん生物学研究を行っていきます。また、重粒子線治療の更なる高度化に向けた生物学研究も行っていきます。

人工および環境の新しい放射線の人体影響について科学する

一般に放射線といっても、線量あるいは線量率の大きさの違いに加え、電磁波(光子)と粒子線など種類は様々です。それぞれに対する人体の反応にも特徴があります。それらの違いは細胞レベルで遺伝子ゲノムの動態や蛋白質の発現に反映され、また個体・組織のレベルでは細胞の種類(発生・分化のレベル)によって異なる効果を及ぼすことを明らかにしてきました。こうした効果の分子メカニズムの解明にとりくむ一方、正常を逸脱したがん細胞の特質に着目し、新しい放射線治療の科学的な根拠を追求します。また、最新のモデル実験動物を用いて、放射線障害や発がんのリスクを増加させる生体機構への理解を深め、予防医学への貢献を目指します。

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化学反応量の定量的評価を通して放射線障害の分子機構を探る研究

放射線によって水中あるいは油脂中で生じる活性分子種の同定と定量、およびそれらの初期生成密度の解析と、それらにより誘導される細胞・生体応答への影響について調べます。活性化学種の初期生成密度は、引き続き起こる化学反応の道筋を決定しうる重要な因子と考えられ、それらの活性分子種が引き起こす連鎖的酸化還元(レドックス)反応を予想することにより、化学反応から生物学的応答へと結びつく反応の道筋を模索します。そうした予測に基づき、既知あるいは新規の機能性分子を用いて標的活性種の制御を試みるとともに、生体内分子の化学的障害機構とそれにより誘導される細胞や生体の応答への線質効果の影響の解明を目指します。

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研究チーム

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