IAEA: International Atomic Energy Agency(国際原子力機関)

【沿革・目的】

 IAEAは原子力の平和的利用を促進するとともに、原子力が平和的利用から軍事的利用に転用されることを防止することを目的とする国際連合傘下の国際機関です。1953年の国連総会におけるアイゼンハワー米国大統領による演説“Atoms for Peace(平和のための核)"を契機として、1957年に設立されました。2005年には、原子力エネルギーの平和的利用に対する貢献が認められエルバラダイ事務局長とともにノーベル平和賞を受賞しました。2014年8月現在の加盟国は162ヶ国です。

【活動内容】

 IAEAの活動は、原子力の平和的利用に関する分野と、原子力が平和的利用から軍事的利用に転用されることを防止するための保障措置の分野の2つに大別されます。原子力の平和的利用に関する事業は、原子力発電分野、非原子力発電分野(環境、ヒューマンヘルス、鉱工業・食品・農業等における放射線の利用)及びこれら利用の安全・セキュリティ分野に大別することができ、すべての分野において開発途上国に対する技術協力活動が実施されています。
 保障措置とは、原子力が平和的利用から核兵器製造等の軍事的目的に転用されないことを確保するために行われる検認制度です。保障措置は保障措置協定によって規定されており、保障措置協定にはNPT (Nuclear Non-Proliferation Treaty,核拡散防止条約) 締結国である非核兵器国がIAEAとの間で締結する「包括的保障措置協定」、NPT非締結国である非核兵器国がIAEAとの間で締結する「個別の保障措置協定」、核兵器国が、自発的にIAEA保障措置の適用を受けるために、IAEAとの間で締結する「自発的協定」の3種類があります。

【放医研からの協力】

1. IAEA Collaborating Centre(IAEA協働センター)

【定義】
 IAEA Collaborating Centre(以下IAEA-CC)は、IAEAの通常の予算内の研究、開発、研修に関する業務を支援する機関です。認定によってIAEAの代理機関としての権限や特別な地位を付与されるわけではありませんが、認定プレートが与えられIAEA-CCの名称を公式に名乗ることが許されます。IAEA-CCとしての活動計画の実施に伴う費用は協働センターが負担します。協働事業は最大4年の時限付き活動に従って実施され、協働センターはIAEAに毎年活動レポートを提出します。

【放医研との関係】

2006.1「低線量放射線の生物学的影響」を協力分野として、協働センターに認定される。
2006.2IAEAからアンドレオ保健部長が来日、放医研において認定式を催行。
2010.112006年~2009年までの活動の総括と新たな連携分野の確認を目的として、IAEA -CC Ceremony & IAEA-NIRS Joint Workshop を開催。IAEAからチェム保健部長が出席。
2011.1「生物影響」に加えて、「分子イメージング」、「重粒子線治療」を含む総合な連携協力の枠組みでの協働センターに認定される。
2014.1「生物影響」「分子イメージング」「重粒子線治療」の3分野で協働センターに再指定され、活動が第3期目に入った。

第1期(2006 - 2008)認定プレート

認定プレート授与式 (2006年2月8日)
佐々木理事長(左)とIAEA保健部長ペドロ・アンドレオ氏(右)

第2期(2009 - 2013)認定プレート
活動分野: 重粒子線治療, 分子イメージング, 放射線生物影響

NIRS-IAEA  合同ワークショップ(2009年12月)
IAEA保健部長レシー・チェム氏(左)と米倉理事長(右)

2. Program of Action for Cancer Therapy (PACT;がん治療アクションプログラム)

【経緯・趣旨】
 IAEAは放射線治療に関する技術協力プロジェクトを通してがん対策を実施してきましたが、発展途上国では放射線治療施設・専門技術そのものが不足している現状があります。がんの急増に対する一般の人々の意識向上と適切ながん治療プログラムの実施が急務であるという認識の下、世界保健機関(World Health Organization, WHO)と国際対がん連合(International Union Against Cancer, UICC)ががん予防と治療における国際的な協調努力に基づく行動の必要性を訴えたことを受けて、2004年、IAEAはIAEA主導の対がん戦略としてPACTを打ち出しました。
 IAEAは、放射線治療や核医学の枠を越えた、予防、スクリーニング、診断、治療、緩和ケアを含んだ包括的な対がんプログラムとしてPACTを位置づけ、各加盟国が国内のニーズに合ったがん対策を持続可能な形で実行する能力構築を推進します。

【運営体制】
 設立当初はIAEA原子力科学・応用局の下に、PACT Programme Office(PRO)が設置されており、マスード サミエイ氏(Mr. Massoud Samie)がヘッドを務めました。PROのヘッドは事務総長および関連部門長と協議しながら、対がん統一戦略を策定・立案・実行します。PROは、がんに関連する活動において、外部ステークホルダーとの協力体制を主導し、資金調達(寄付金の募集)やプロジェクト実行の調整を行います。2014年1月よりPACTはIAEA技術協力局の一部門となりました。

【放医研の参加・協力】

3. Response Assistance Network (IAEA-RANET;緊急時対応援助ネットワーク)

【定義・目的】

  1. IAEA-RANETは、2005年、「原子力事故に対し、支援要請への迅速な対応を可能にし、原子力事故援助条約の実際の履行を支援するためのネットワーク」として構築されました。
  2. RANETに参加した各国は、医療支援や被ばく線量評価をはじめとする様々な分野で、IAEAや当事国の支援要請に基づき、専門家の助言・指導などの援助を行うことが期待されています。

【担当部局】
IAEA原子力安全・セキュリティ局の事故及び緊急事態対応センター(IEC: Incident and Emergency Center)

【参加国】*2010年11月現在
フィンランド、メキシコ、スリランカ、米国、アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、チェコ、エジプト、フランス、ハンガリー、日本、ナイジェリア、パキスタン、ルーマニア、ロシア、スロベニア、スウェーデン、トルコ、 以上19カ国。

【放医研の参加・協力】

  1. 日本は2010年6月18日にRANETに参加しました。
  2. 日本からは、関係国に対して助言・指導などを通じた援助を行う機関として、放医研、原子力研究開発機構、広島大学の3機関が登録されました(放医研はRANETの構築段階から参画していました)。

4. International Atomic Energy Agency/Regional Co-operative Agreement for Research, Development and Training Related to Nuclear Science and Technology for Asia and the Pacific(IAEA/RCA;国際原子力機関/アジア太平洋地域における原子力科学技術に関する研究、開発及び訓練のための地域協力協定)

【沿革・目的】
 RCAとは「原子力科学技術に関する研究、開発及び訓練のための地域協力協定」(Regional Cooperative Agreement for Research, Development and Training Related to Nuclear Science and Technology)の略称です。RCAは、IAEA活動の一環として、アジア・太平洋地域の開発途上国を対象とした原子力科学技術に関する共同の研究、開発及び訓練の計画を、締約国間の相互協力及びIAEAとの協力により、適当な締約国内の機関を通じて促進及び調整することを目的として1972年に成立し、日本は1978年より締結国となりました。2014年8月現在の締約国は、豪州、バングラディシュ、カンボジア、中国、インド、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、モンゴル、ミャンマー、ネパール、ニュージーランド、パキスタン、パラオ、フィリピン、シンガポール、スリランカ、タイ、ベトナムの20カ国です。

【活動内容】
 2013年は、「農業」「医療・健康」「環境」「工業」等の分野において、18プロジェクトが実施されており、プロジェクトごとにリードカントリー(PLC: Project Lead Country)が定められています。
 各国は「RCA政府代表者」とプロジェクトごとの「プロジェクト・コーディネーター」(NPC: National Project Coordinator)を選任し、政府代表者は「RCA政府代表者会合」に出席して実務事項を横断的に討議します。プロジェクト・コーディネーターは対応するプロジェクト関連の策定会合・レビュー会合・終結会合などに参加して、当該プロジェクトの進展状況を報告します。

【放医研の参加・協力】

  1. RCAプロジェクトへの参加
    放医研は、保健プロジェクト(核医学4件、放射線治療4件)、放射線防護のプロジェクト3件にこれまで(現在進行形も含め)参加しており、プロジェクトを主導する国のコーディネーター(PLCC: Project Lead Country Coordinator)や、当該プロジェクトのその国の担当者(NPC: National Project Coordinator )としての役割も担っているものもあります。
  2. IAEA/RCAトレーニングコース開催
    RCAプロジェクトの活動として、放医研ではトレーニングコース、会合を1991年以降約20件以上開催しています。
  3. RCA政府代表者会合への出席
    毎年春に開催されるRCA政府代表者会合では、前年度における活動報告、新年度の活動予定、そして中期戦略などについて意見交換が行われます。

5. 専門家派遣

 放医研の専門性を活かし、放射線防護・緊急被ばくを始め、放射線医療専門家を継続的に派遣しています。(IAEA福島レポートワーキンググループにも専門家として参画しています。)

6. CRP (Coordinated Research Project)

 IAEAが組織する各種研究プロジェクトに積極的に参画しています。

7. IAEA 理事国理事等来所

 2008年12月2日-アフガニスタン、ウルグアイ、マレーシア
 2010年2月9日-ケニヤ、モンゴル、ペルー、ルーマニア、ウクライナ

連絡先

放射線医学総合研究所 企画部国際連携推進室

〒263-8555 千葉市稲毛区穴川4-9-1
Tel:043-206-3025 Fax:043-206-4061
E-mail:kokusai@nirs.go.jp

  • 教材資料アニメーション
  • 原発事故関連
  • 受賞・表彰一覧
  • 患者さん・研究に参加された方へ

ページの先頭へ戻る